仕事を辞めようと決めた時、どういう手順を踏んで退職すれば良いのかみなさんご存知ですか。いざ退職するとなると、たくさんの手続きにとまどってしまうかもしれません。また退職する際にはいくつか知っておくと役立つことがあります。
その中の1つに、有給消化があります。これは、労働者に与えられる権利になり、法律で定められています。円満に退職し、有給消化を利用するために今からお話ししたいと思います。
目次
すぐに辞めることは出来ない?!退職するまで
退職の手順
仕事を辞めると決め、直ぐに辞めることが出来るわけではありません。仕事を辞めるには順序があります。
手順1 上司に辞める意思を伝える
法律上では、2週間前に申し出ると退職可能とされていますが、入社時に企業と就業規則を結んでいる場合が少なくありません。企業により異なるので、決められた期間までに辞める意思があることをしっかりと伝える必要があります。
手順2 退職届・辞表を提出する
退職届と辞表を同じものと考えている人が多いようですが、実はそれぞれ用途が違います。退職届は、会社の承諾を得て退職が認められた人が提出する書類になります。一方、辞表は、社長や取締役役員などが仕事を辞める時に提出するものです。
また、公務員が辞める時も辞表を提出します。さらに、混同されがちなものとして、退職願がありますがこれは、退職をしたいという意思を伝えるものになります。なお、口頭で伝えた場合は必要ないこともあります。
手順3 引き継ぎ
仕事を辞めることで、自分が今までしていた仕事を、代わりの誰かにしてもらうことになります。どういったことをしてきたのかしっかりと辞めるまでに引き継ぐことが大切です。
手順4 退職に関連する手続きをする
退職するにあたり、さまざまな事務手続きなどが発生します。
手順5 退職する
順を追って、退職にいたります。上司にやめる意思を伝えてから退職するまでは、1〜3ヶ月程度かかると思っておくと良いでしょう。
忘れてはいけない退職時の手続き
退職時の事務手続き
退職するにあたり、さまざま事務手続が必要になります。どのようなことが必要なのか説明します。
健康保険被保険者資格喪失証明書
仕事を辞めると今まで使っていた健康保険を利用することは出来なくなってしまいます。その為、すぐに保険を移管しなければならないのですが、その際に必要になります。
雇用保険被保険者離職票
退職後、条件を満たした場合は失業給付を受け取ることが出来ます。その時の手続きに必要となります。退職後10日以内に届くので、万が一届かない場合は会社に問いあわせるようにしましょう。
源泉徴収票
転職した時や、自分で確定申告をする場合に必要です。
年金手帳
入社時に、企業に預けている場合がほとんどです。退職時に受け取ることを忘れがちなので、気をつけましょう。
ちょっとまって!退職する前に有給は使っておこう
有給消化は必ず出来る
これから会社を辞めるのに、有給消化することで、後ろめたい気持ちに思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
有給消化をすることは労働者に与えられた権利になり、会社としては労働者に有給消化をさせる義務があります。有給消化について詳しく説明します。
消化日数について
人それぞれ、与えられる有給の日数はかわってきます。入社して6ヶ月経過していることと、労働日の80パーセント以上を出勤していることの両方を満たしていれば、10日間の有給を与えられます。勤務年数が長くなればなるほど、日数も増えていき、6年半以降は、1年ごとに20日支給されることになります。
ただし、最大40日までしか保有することができないので、注意しておきましょう。
有効期限について
有給はいつまでもあるわけではありません。2年以内に有給消化しなければ、期限が切れてしまいます。
退職時に有給消化をするパターンについて
退職時に有給消化をする場合、最後に出社した日の後に有給消化し、消化し終わった日を退職日とするパターンがあげられます。この場合、最後に出社する日と退職日ご異なります。2つ目は、最後に出社する日よりも前に有給消化し、最後に出社する日を退職日にするパターンになります。
円満に退職するための有給消化!ポイント1
退職するにあたり大切なことは、しっかりと仕事内容を引き継ぐことです。自分が辞めることで、今までやっていた仕事に穴があいてしまうと会社に大きな迷惑をかけてしまいます。
先程、有給消化のパターンを説明しましたが、引き継ぎすることも考え、有給消化を使うタイミングもスケジュールに組み込んでおくようにしましょう。
円満に退職するための有給消化!ポイント2
有給消化の日数を確認しておくことが2つ目のポイントとしてあげられます。また、会社が就業規則により、休日と定めている日は、有給消化した日とみなされないので注意しておかなければなりません。
労働者には、有給消化出来る権利があるにもかかわらず、有給を全て消化出来なかったといったことがおきないように、そういったことも頭の片隅においておくようにして下さい。
円満に退職するための有給消化!ポイント3
退職時に有給消化をしたいということを、なるべく早く伝えるようにしましょう。引き継ぎや人員補充などを会社側は行わなければなりません。ギリギリに伝えると会社側に迷惑をかけてしまうことがあります。
退職日や引き継ぎ、有給消化日数など、いろいろなことを踏まえた具体的なスケジュールをたてるようにする必要があります。
有給消化はお金がもらえる?!
有給消化時の給与について
有給を消化中は、仕事に行かなくてもお金をもらうことが出来ます。
給与の計算方法は?
実は、会社によって算定方法は異なります。法律により、計算方法は3つ定めてあり会社はこの中から選ぶことになります。
その1 今までと同じだけ支給
働いていた時と同じだけの給与が支払われます。手当てなども支給され、通常時とかわりありません。
その2 健康保険の標準報酬日額を支給
普段支給されている給与を基準として、段階的に決められている標準報酬月額から日割りで計算する方法になります。この方法をとっている場合は、標準報酬に上限があるため、支給額が少なくなってしまう場合があります。
不利になってしまわないように、労使協定を結んでおくなど、会社と労働者の間で話し合っておくと良いでしょう。
その3 平均して支給
過去3ヶ月支払われた給与を平均した金額を支給されます。特別な手当てである、賞与や結婚や出産手当てなどは含まれません。
会社側は1つをえらぶ
3つの計算方法を紹介しましたが、会社側はこの中の1つだけを選び、有給消化時に給与を支払うことになります。就業規則にどの計算方法で支給するか規定する必要があるので、その時々の状況により計算方法をかえることは出来ません。
有給消化のトラブルや注意点
知っておこう!トラブルと対策に注意点
ポイントを押さえて手続きを進め、有給消化を行えば特に問題はありませんが、まれにトラブルが起こってしまいます。トラブルの内容と対策について、また気をつけておかないといけないことを紹介します。
有給消化を使えない
労働者には有給を消化できる権利があるにもかかわらず、会社側が何らかの理由をつけて、消化できなかったという場合があります。
そういった場合は、労働基準監督署へ相談してください。申請を拒否することは、労働基準法第39条の違法になります。相談することで、申請が受理される可能性があります。
有給消化中の給与がもらえない
この場合も上記と同じように労働基準監督署へ相談するのがよいでしょう。会社側には、支払い不足分の請求をし、その際証拠となるように紙面などで残しておくことが大切です。
有給消化が間に合わない
こういったトラブルが起きないように、事前に有給日数を把握して消化する計画をしっかりたてておくことが重要になります。有給消化出来なかった理由が、仕事の引き継ぎができなかった場合などは買い取りをしてくれる会社があります。その際は会社に相談してみると良いでしょう。
有給消化中の転職活動には注意
働いていた会社か、転職先の会社のいずれかが、二重就労を禁止している場合は注意して下さい。会社には行っていない有給消化中でも、二重労働しているとみなされてしまい退職金がもらえなくなってしまう場合などもあります。
有給消化中にボーナス支給日
支払い日が有給消化中であっても、支給額の算定期間における会社業績や勤務成績に応じて支給されるものになるので、支給の対象になります。ただし、支給額は減額される場合もあるので、注意が必要です。
ステップアップのために!
退職理由は、人それぞれ異なります。どんな理由であれ、円満に退職したいと思う気持ちは同じではないでしょうか。
円満に退職し、次のステージへとすすむためにも、トラブルなく有給を消化する必要があります。有給消化について、いろいろとお話ししてきたので、是非参考にして下さい。