どう伝えればいいか分からない!?すぐに役立つ志望動機の答え方

志望動機の伝え方

就職や転職をするにあたって、必ず求められることに「志望動機」があります。「あなたはどうしてこの会社に入りたいと思ったのですか?」「あなたにとってこの会社の魅力とはなんですか?」そんな時、いったいどう答えたらいいんだろう、そう悩む人は少なくありません。

そこで、どんな業種にも使える志望動機の回答内容について説明してきましょう。

なぜ志望動機を聞かれるのか

志望動機を聞かれる理由を知っておく

入社にあたって、必ず確認されるものが志望動機です。では、どうして志望動機を求められるのでしょうか。良い志望動機の回答のしかたを考える前に、まず志望動機を尋ねられる理由を知っておくと、どのように伝えたら良いのかが分かってくるでしょう。

真剣さや覚悟があるか

企業が人材の募集をかけているということは、その時点で仕事量がマンパワーを超えているか、新しいことをはじめたいけれど適任者がいないかのどちらかです。いずれにせよ募集企業は、早く新しい人材が欲しいと考えています。

そして、採用試験を受ける側はあまり気に留めていませんが、新しい人材を採用するには、それなりにコストがかかっています。求人サイトや求人誌への掲載のための準備には、時間が必要です。また、そのための費用もかかります。もちろんケースはさまざまですが、一人を採用するのに最低100万円はかかっていると考えてください。

そのような企業の募集背景を知ると、せっかく採用したのにスグに辞められてしまった時の損失は、とても大きいということが分かると思います。ですから、採用するからには、「どんなことがあっても頑張っていこう」という真剣さと覚悟を強く持っている人を選びたいのです。

企業の社風や風土に合っているか

企業は組織であり、1人では仕事をすることができません。どんな企業でも、部署があり、プロジェクトがあり、チームがあります。人の輪の中で仕事を円滑に進めることができるかどうかは、人を見るうえでとても大切な要素です。

応募してきた人が、その企業の社風や風土とかけ離れた考え方やキャラクターであると、採用する側はどうしても不安を抱きます。志望動機の確認は、自分たちと同じ方向に向かって進んでいける人かどうかを知るためのものでもあるのです。

こんな間違いをしていませんか?志望動機のNG回答

志望動機の説明は自己アピールと同じ

志望動機の回答は、同時に、自分をアピールすることでもあります。ですから、志望動機の回答の組み立てを間違えてしまうと、それは自己アピールそのものをミスしてしまうことに等しいと言えます。

そこで、多くの人がやってしまいがちなミスについて説明し、間違った志望動機の答え方について見てみましょう。

その企業の風土やカルチャーを否定する

よくある間違いに、風土やカルチャーなど、その企業の現状を否定するような意見を述べてしまう人がいます。

  1. 自分にはこのような実力がある
  2. だから、こういうことができる。
  3. そのためには、この会社をこうして行きたい

上記の1と2までは問題ありません。しかし、組織のあり方にまで言及してはいけません。

自分が、大学のサークルなどで新入生を面接する側であることを考えてください。

「学生生活はこうあるべきだ。自分にはこういう素質がある。だからこのサークルをこう変えていきたい」。

そのように言われると、分不相応な意見で現状否定をされたように感じ、決していい印象は持たれないでしょう。結果として相手のプライドを傷つけないように気を付けるべきです。

現状の不満を述べる

転職の場合は特に、今の状況をより良くしていくための活動です。より良くするということは、「現状に不満がある」ことの裏返しでもあります。「自分の実力や努力が正当に評価されていない」「周りのせいで残業が多い」など、理由は違えど、現状を変えたるために新たな職場を求めています。

しかし、それをそのまま志望動機にして、「今が嫌だからこちらに行きたい」という伝え方をする人がいますが、絶対にやめましょう。不満を動機にする人は次もまた不満を持つような人格と判断され、プラスの評価につながることはありません。不満は自分の中に留め、相手には知らせることのないように心がけましょう。

志望動機と退職理由の関係がチグハグ

前項で、以前の不満を動機にしてはいけないと言いましたが、志望動機と退職理由の関係がチグハグすぎることもよくありません。

「自分のスキルを生かせなかった」ことが退職理由である人が、志望動機に条件面ばかりを並べていると、社会人としてのバランス感覚を疑われる結果にもつながりかねません。この場合、

「自分のスキルが生かされていなかった

このような改善の提案を試みた

しかしこういう理由で受け入れられず、自分にとって残念であると同時に組織にとっても損失であると思う」

上記のように全体に対してポジティブである面をしっかり伝えるようにしたいものです。

キレイな言葉だけを並べる

万人受けのいいキレイなことばだけを並べ、実は内容がとても薄い。そんな回答をしている人がいます。

例えば、「御社のサービスは多くの人を幸せに導いている点に感銘を受けています」、「御社の活動が、社会のイノベーションへの可能性を示していることに感動しています」など、具体性のない美辞麗句は、かえって自身の評価を下げてしまうので気を付けたいものです。

採用する立場になって志望動機を見直す

志望動機に疑問を持たれてしまう人の特徴の1つに、『自分のことしか見えてない』ことがあります。自分のいい面を出そうとし過ぎて、それを受け取る側の人の気持ちを軽視してしまっているのです。人は誰でも、自分のことを良く思って欲しいものです。

しかし、思い込みが強すぎることは、かえって逆効果になることもあります。『自分が部下を採用するとしたらどう思うだろう』というように、自分が組み立てた志望動機を、2つの違った立場から見てみることも大切です。

採用担当に印象づける志望動機回答例

自分の経験やスキルと企業の方向性を合わせる

企業にはそれぞれ、進んでいこうとする方向性があります。それは、株式公開など企業規模の成長に向かう場合だけではなく、組織を立て直すということを目指していることもあります。志望する人のできること・やりたいことと、企業の方向性が違っていては、その人は魅力ある人材には映りません。

応募する企業についてしっかりとリサーチし、実態をできるだけ理解したうえで、志望動機を組み立ててください。

回答例

今まで食品会社において、5年間経理を担当して参りました。卒業当初から、数字に触れる仕事を志望しており、これまで経理部門で業務の経験を積ませてくれた前社には、とても感謝しています。

私にとって御社の魅力は、国内はもとより、海外にもグループ企業を展開されている点です。それは、御社の、事業体としての規模が魅力だということのみならず、自分自身がこれまで培った経理という業務を通して、グループ全体の会計に携わることができる面にあります。

これまでにないスケールの仕事を通して、御社の成長への貢献と、自分自身の成長をともに実現できる可能性を感じています。そして、これから目指しておいでだと伺う株式公開についても、それに伴う業務において全力を傾注したいという意欲をもって志望させていただきました。

人を通して企業を評価する

企業は人によって成り立っています。人が企業風土をつくり、その企業がまた人を育てる。社員が組織人として成長することは、その企業そのものを成長させることにもつながっています。つまり、魅力的な会社は、魅力的な人材がつくっているということに他なりません。ですから、人を通して企業を知り、それを志望動機にすることも1つです。

回答例

私は、化粧品メーカーにおいて5年間、営業職として勤務して参りました。主に、代理店の出店増のため、事業説明会の企画から実施、契約までの流れを一貫して担当して参りました。同業である御社の店舗展開には、日ごろより強い関心を抱いており、強く意識しておりました。

その理由としては、エンドユーザーにたいする訴求力の高いマーチャンダイジング手法に、学ぶところが多いと感じてきたからです。自分の将来を考えていた時に、2人の御社営業職社員さまと、化粧品業界の今後について話をする機会を得ました。

その際、将来予測や現状分析の的確さに強い説得力を感じました。お2人に共通しているのは、社内のいろいろな部署の方々と常に接点を持ち、情報を共有しながら、企業の発展を意識して業務に取り組んでいる点です。これは私が感じる御社の企業風土と一致し、そこで育った人材が御社の魅力を生んでいるという相乗効果があるのだと理解しました。

私も、企業と社員がともに支え合い成長し続けるカルチャーを持つ御社で、これまでの経験を生かして貢献したいと考えたことが志望の動機です。

志望動機の組み立てにはリサーチが重要

この記事を参考に、あなたのキャリアや適性が、応募する企業にマッチした志望動機を組み立ててください。そのためには、志望動機を構成するにあたって、応募する企業に関してしっかり調査やリサーチをすることが重要です。志望動機に調査なんてそんなに必要なの?そう思う人もいるかもしれません。

しかし、面接や応募シートで志望動機を伝えるときに、自分のことだけを述べればいいというものでは決してありません。応募してきた人が、自分たちのことをほとんど知らなければ、本気で入社したいのだろうかと疑問を持たれてもしかたありません。

また、就職や転職は将来にかかわる大切なことだと思えば、おのずとその企業のことを細かく知りたくなるはずです。

自分のことも、相手ものことよくわかった上で、あなたのやる気と魅力が伝わる志望動機を伝えてください。