辞表の書き方と出すタイミングや準備

辞表の書き方

私たちには職業を自由に選択する権利があります。海外では比較的転職や辞職は盛んにおこなわれており、むしろいろいろな職種の仕事を経験している人の方が重宝されます。一方、日本では退職をしづらい文化が根付いているのが現状です。しなしながら、会社の言いなりになる必要は全くありません。

どうしても自分に合わないと思ったら自由に退職しても良いのです。ここでは、辞表の出し方やタイミングなど知っておいた方が良い知識にについてまとめてみました。

退職届の種類について

退職届について教えてくれるところはどこにもありません。仕事をしていてわからないことがあれば遠慮なく会社内の人に聞けば良いですが、辞表の書き方や作法についてはさすがに同じ会社の人に聞くわけにはいきません。

辞表の書き方から学ぶ前に、辞表について知っておいて欲しいことがあります。

退職、転職、辞職の時に提出する書類は大きく分けると3種類

退職や転職、辞職するときなど現在勤めている会社を離れる場合には口頭でのみ伝えて離れることはできません。必ず何らかの書類を提出することとなりますが、こういった場合に提出する書類には名称の異なるものが大きく分けて3つあります。

これらの意味を混同している人がかなり多いので、それぞれの違いについて理解し、適切な書類を提出しましょう。

辞表の意味合いについて

辞表は民間企業に勤めている会社の経営者や、役員、そして公務員が現在勤めている会社を退く際に提出します。

何の役職にもついていない入社したばかりの平社員が会社を退くときは表書きに「辞表」と書いてはいけません。特に、若い人はこれを知らずに辞表と書いてしまうことが多いのでくれぐれも注意しましょう。

退職届の意味合いについて

退職届は現在勤めている会社を辞めるという明確な意思表示をしたいときに提出するものです。退職届が受理された時点で退職が成立します。退職届は受理された時点ではなく、提出した時点で撤回することができません。ですから、あいまいな気持ちの時には出さないようにしましょう。

ちなみに、退職届は自己都合での退職よりも会社側の都合、いわゆるリストラによって会社を辞める時に提出するケースが多いです。

退職願の意味合いについて

退職願は先ほどの退職届と比べると少し効力が弱く、採用されたときに結んだ労働契約を解約するという意味合いで提出されるものです。先ほどの退職届とは異なり、会社側が書類を受け取っただけでは退職は成立しません。会社側が内容を読んで承諾をして初めて退職が認められます。退職願は退職届とは異なり、提出後の撤回も可能です。

辞表の書き方

退職時に提出する書類の種類を理解したら、次は書類の書き方をマスターしましょう。正しい書き方を知らないままで書くと大きな恥をかくことになります。

書類を入れる封筒について

辞表を入れる封筒の色は白い無地のものが正しいとされています。辞表や退職届、退職願いは自分が現在勤めている会社に対して退職をするという意思を表示するとても重要な書類です。したがって、公式の書類として扱われることとなります。白い封筒と同じくよく使われることの多い茶色の封筒はどちらかというと私的な書類に用いるものですから、辞表などを入れる封筒としては使わないようにしましょう。

辞表は縦書きで

封筒を選んだらいよいよ辞表を書くことになりますが、辞表を書くときはどういった紙に書くのであれ、縦書きで書くのが基本となっています。間違って横書きで書かないように注意しましょう。

必ず手書きで書こう

近年では書類の書式を統一するために辞表をパソコンで書くことを認めている会社もありますが、あらかじめ書式化しておくのは縁起が悪かったり前々から退職の準備をしているととらえられたりする場合もあります。

会社の方針はどうあれ、辞表など退職する際に提出する書類は手書きで書いて提出しておいた方が無難です。

退職理由は統一しよう

退職する本来の理由は人それぞれです。単に仕事が嫌になって辞めることを決意したり、人間関係が上手くいかなくなって退職を決断したり、ネガティブなことが理由であることがほとんどです。

辞表を書く際に退職理由を事細かく書く必要はありません。退職する理由がどのようなものであれ、書き出しの文章は「一身上の都合で」に統一しておきましょう。

辞表に関する会社の規定を事前にチェック

会社によっては就業規則に辞表や退職届の提出方法について事細かく定めている場合もあります。会社が定めているルールに違反しているような辞表を提出してしまうとイメージが悪くなり、交渉が長引くこともあるので事前に就業規則で辞表に関する取り決めがないか確認しておきましょう。

辞表を提出する前の準備

辞表を提出する前に準備しておいた方が良いことがいくつかあります。1つ目は収入に関してです。現在の会社を辞めるということは投資などをしている人でもない限り一切の収入がなくなります。

一切の収入がなくなっても困らないように準備しておきましょう。バイトをしたりしてしばらく生計を立てるのも良いですが、就職活動をしながらアルバイトをするのにも限界があります。

ゆっくり企業を探す時間が確保できませんし、だんだん自己資金や貯金が少なくなってくると焦りが生じて自分が本当に行きたい会社でもないのにとりあえず収入を確保するという目的で適当な会社に就職しなければいけなくなります。

すると、また会社を辞めなければいけなくなるという悪循環に陥りかねません。できれば辞表を提出する前に就職活動をおこない、次の働き先を確保した状態で辞表を提出するようにしましょう。

何を言われても動じない強い気持ちを持って退職に臨もう

次に心の準備もしておかなければいけません。特に、長年勤めている社員は会社にとって重要な人材ですから、辞めたいと申告してもそう簡単に許可を出してはくれません。現在の不満点を聞き、それを解消しようとありとあらゆる方法で駆け引きしてくるでしょう。

会社が提示した内容に満足いくのであれば退職を撤回してもいいですが、本当に今の会社から抜け出したいのであれば、会社側からどのような条件を提示されても、何を言われても折れないような強い意志を持つことが重要です。

先ほど在籍中に次の勤め先を見つけた方がいいと書きましたが、次の勤め先を見つけることで会社を辞める意思を更に強いものにできます。

提出するタイミングについて

辞表や退職届は直前で提出すると会社に大きな迷惑がかけることになります。自分が会社を辞めた後は誰かが今まで自分が請け負っていた仕事をこなすことになりますから、引継ぎ業務をしなければいけません。これらのことを考慮して退職届や辞表は実際に退職を希望する日から1か月以上前には提出するようにしましょう。

労働基準法には退職希望日の2週間前と記載されていますが、2週間で引継ぎ業務や公認の決定を終えるのはなかなか難しいです。そして、書類は人づてで渡すようなことはせず、必ず手渡しで渡すようにしてください。

辞めることを告げる書類ですから顔を合わせて渡しづらいという気持ちは分かりますが、少なからず今までお世話になった会社に対してのけじめを詰める意味でも自分の手で直接渡すというのが会社に対する最低限のマナーです。

それぞれの意味合いを理解し、正しく提出しよう

会社を辞める際に提出する書類には辞表や退職願などいくつかの名称があります。文章自体に大きな違いはありませんが、提出する人がどういった立場か、そしてどういった経緯で退職するのかによって提出する書類の名称は異なります。その他、書く時や渡すときなどにもマナーがあるのでしっかり確認しておきましょう。