社会人として働いていると「仕事辞めたいな~」と思った経験、一度や二度はあるのではないでしょうか。20~30代へのアンケートでは実に7割近い人が仕事を辞めたいと思ったことがあるそうです。
でも実際に仕事を辞めるとなると職場に迷惑がかかりますし、退職することを伝えてもしばらくは引き継ぎや整理などで会社には行かなければなりません。さらに辞める理由によっては居心地が悪いと感じることもありますよね。そこで円満退社するための仕事の辞め方、理由や辞める準備について紹介していきます。
目次
仕事を辞める理由、他の人は何で辞めたの?
仕事を辞める理由は人それぞれ違います。仕事を辞めたいけれど、自分はこんな理由で辞めても良いのだろうか、こんな理由で辞めるなんて甘いのかな、なんて考える人もいるでしょう。以下で挙げるような理由で仕事を辞める人は多いようです。
給料や福利厚生が悪い
ずばり給料が低い、というのが辞める大きな理由になっているようです。特に新卒や3年目位までは耐えられても、5年、10年と働いても一向に昇給しない、ボーナスがない、など不満が溜まって退職する人が多いです。
独り暮らしならなんとか耐えられても、家族を養っている場合は厳しいですよね。給料や福利厚生で退職を決意した人の意見は次のようになっています。
- どんなに遠くても交通費が月数百円
- 自社ブランドの服を毎週買わなければならないから貯金ができない
- 業績悪化で給料3割カット
人間関係がストレス
職場には年齢もバラバラで趣味嗜好いろんな人がいます。些細なことから不満やストレスが溜まり、結果として仕事に行きたくない、と感じる人は多いです。特に朝から夜まで空間を共にするのは耐えられず退職を決意してしまうようです。人間関係で辞めた人の意見は以下のようになっています。
- 女性ばかりの職場だからか根も葉もない噂がすぐに広まる
- 後輩がタメ口
- 隣の先輩のヘアコロンや香水の匂いがきつくて毎日仕事にならない
仕事内容や社風が合わない
お金を稼ぐ手段として割りきれれば良いですが、1日何時間も費やす仕事を好きになれないとやる気も起こりませんし、時間の無駄だと感じる人もいます。入社する前は好きだったことも、毎日仕事として接するうちに嫌いになってしまう人もいるようです。
また、入社前には分からなかった会社の悪い習慣や変な風習を知ることによって、自分には合わない、辞めたいと感じる人も多くいます。
- そもそも仕事内容に興味が持てない
- 売れ売れ、と上司に言われるが、売れないものは売れない
- 忘年会や新年会、歓迎会では出し物必須
- 経営陣が怪しい宗教に入っている
仕事を辞める際、ベストな手順とは?
仕事を辞めよう、と決意してもどういう手順で辞めたら良いのか分からない人も多いですよね。アルバイトなら上司に伝えれば良いだけですが、仕事となるとそうはいきません。上司への報告のほか、同僚や先輩後輩、取引先への挨拶、自分の仕事の引き継ぎ、デスクやロッカーなど私物の整理など、他の人に迷惑をかけないようにやることはたくさんあります。
辞め方の大まかな手順は以下のようになります。
辞めると決めたらいつ辞めるかを明確にする
辞めよう、と決めたら退職日を決めます。というのも、大体の企業では辞めます、と言ってから2~3ヶ月は辞められません。仕事内容や担当している業務量によってはもっとかかる場合もあります。その間にやらなければならないことがたくさんあるからですね。
退職日を決める際に重要なのがボーナスです。他に貰えるものは退職金がありますが、支給されるタイミングは会社ごとで異なっていますし、そもそも退職金が出ないところもあります。ですので、どのくらい勤めたら貰えるのか確認しましょう。ボーナスに関しては貰えるのと貰えないのでは結構差がありますよね。
ほとんどの企業では6月、12月がボーナス月なので、これ以降に辞めることを伝えるのがベストなタイミングです。というのも、ボーナス前には査定期間があり、勤務態度や実績などを見て額面を決めます。仮に5月に辞める、と言った場合、ボーナス額を下げられてしまう可能性があるからです。
そして豆知識的な感じになりますが、辞めるのを1日付ではなく、30日や31日といった月末付にすることで1ヶ月分の保険料を払わなくて済む可能性があります。退職後、転職先が決まっていれば良いですが辞めてから仕事を探す場合、お金があるだけ精神的にゆとりができます。
また、保険料の査定月が4~6月の給料のところも多いので、この期間は残業などはやめて給料を少なくしておくと、引かれる保険料も少なくて済むのでちょっとだけお得に辞めることができます。
もっともな退職理由を決める
後程詳しく触れますが、「会社の力ではどうにもならない、対処できない」という理由が必要です。例えば仕事内容が好きになれない、といった場合、別の部署に異動させられる場合があります。もちろん人手不足や優秀な人材に限りますが、解決できるような理由では辞めたくても引き留められてしまう可能性があるのです。
他にやりたいことがある
現在の職場と異なる業界や職種、現在の会社では出来ない仕事である必要がありますが、他にやりたいことがあるから、というのはもっともな理由です。もしくはやりたいことのために勉強する、資格をとる、という理由も辞めざるを得ない理由にはなるでしょう。
結婚する、もしくは子供が生まれる
これは女性の退職理由によくある理由です。結婚しても仕事は続けられそうに思いますが、結婚を機に遠いところへ引っ越す場合や旦那さんから家庭に入ってほしいと頼まれる場合もありますよね。また、子供が生まれるから、というのも出産や育児に手一杯になり仕事は続けられないのでもっともな理由と言えます。
親の介護のため
こちらもまっとうな理由です。介護というのは経験者にしか分からない、と言われるほど過酷なものです。自分の親なら尚更でしょう。自分で親の介護をしながら働いている、という人は非常に少ないと思います。恐らく職場の方でも親の介護なら仕方ない、というように退職を受理してくれるでしょう。
心構えと準備をする
退職日と、会社に悪い印象を与えず退職できる理由が決まったら上司に報告します。もちろん嫌で辞める、という姿勢は見せないようにするのが重要です。円満退職をしたいのであれば、会社や仕事に未練はあるけど辞めなければならない、残念そうな感じで伝えるのがベストです。そして仕事は辞めるからいい加減にするのではなく、丁寧に行いましょう。
さらに現在受け持っている業務はいずれ誰かに引き継がなければならないので、分かりやすいようにまとめておく、取引先にも伝えておくなど準備しておきます。誰にでも分かるようにしておかないと、辞めた後あれこれ聞かれる羽目になります。
そして会社から退職時に貰う書類はきちんとまとめて保管しておきます。離職票や源泉徴収票などは新しく入った会社や年末調整で必ず必要になります。もし無くしてしまうと前の会社から再発行してもらわなければならず、手間も時間もかかりますし、印象も悪くなってしまいます。
本当は違う理由だけど・・嘘の理由で辞めても大丈夫?
先ほど述べましたが、退職するには「会社の力ではどうにもならない」理由が必要です。人手不足や忙しい部署の場合、なんとか辞めるのを引き伸ばそうとしてくると思います。例えば
- 苦手な人がいる
- 仕事がきつい
など退職理由として挙げる人もいますが、これらの理由ではその人と距離を置くような人事異動になったり、部署異動や業務量を減らすなど、会社や上司の力で解決できてしまいます。
大きな嘘はいけませんが、多少の嘘なら退職理由にしても良いと思います。辞めたい、と思うからには何かしら仕事に支障が出ているはずですから、自分自身はもちろん、会社のためにも辞めた方が良いのです。例えば
- 語学取得のために留学を考えている(考えているだけで実行はしない)
- この仕事ではない、やりたいことが見つかった(本当は給料の良い別の会社に行きたい)
などです。会社の力ではどうにもできないと思われるので、辞める理由としては説得力があるでしょう。
一番やってはいけない辞め方は、理由はどうあれ喧嘩の末勢いで辞めてしまったり、辞めると言ってから急に来なくなってしまうことです。このような辞め方では退職ではなく、解雇扱いになってしまい、再就職が厳しくなってしまいます。
必要なのは退職届?退職願?
上司にも辞めると伝えたし、仕事も減ってきたしこれですっきり辞められる、と思っていませんか。忘れてはいけないのが退職届です。会社によって規定があるのでこの通りではありません。一度社内規定を確認してみると良いでしょう。
辞める1~2ヶ月前には手渡すのが一般的
一般的に退職願は口頭で退職の意思を伝える際に手渡します。もちろん口頭だけでも大丈夫ですが、流されないためにも書類にして渡し、念のためコピーを自分で保管しておくと良いでしょう。さらに退職の意思が認められれば退職届を提出します。これらは会社でルールがあると思うので、それぞれに従います。
ではドラマなどでよく見聞きする「退職願」「退職届」「辞表」、これらの違いは何でしょうか。
退職願
退職願そのままの意味で、「退職したい」という願いを打診するための書類です。口頭で伝えれば良いので必ずしも提出義務はありません。ただ提出しておけば流されてしまう心配もないでしょう。
退職届
退職届は退職の意思が会社に認められたあとの意思表示のようなものです。こちらも法的に必ずしも提出義務はありませんが、退職日を明確にしたり、勘違い、言った言わないのトラブルをなくすためにも提出します。テンプレートを使用しても大丈夫ですが、会社の規定書面があればそちらを優先します。
辞表
ドラマや漫画でよく見かける辞表は、社長や取締役など役職者が辞める場合、公務員が職を辞める場合に用いられます。一般社員は使わないので無視して大丈夫です。
円満退社するなら計画的な辞め方を!
仕事を辞めたい、と言ってもすぐに辞められるわけではありません。もちろん辞めます、と言って会社に行かないのは簡単です。ただ社会人として、常識ある大人として辞めるときこそマナーが必要です。仕事を辞めるときのルールや仕組みを知って、お互い良い気持ちで終わりたいですね。