たった今就職活動中のAさん。
大学の同級生であるBくんと話しながら、様々な企業の情報を集めているときのことです。
Aさん:「見て、この企業の初任給すごく高いよ。30万円だって。」
Bくん:「確かに!他の企業と比べてもずば抜けて高いね!」
Aさん:「新卒にこれだけくれるのだから、きっと良い企業だろうな。エントリーしとこう!」
このような流れからAさんは企業にエントリーをして、無事に内定をもらい、安定した仕事に就いたはずでした。
しかしながら、実際に入社してみると、Aさんが想像していたものとは違ったのです。
初任給こそ高かったものの、それ以降の給料は他の企業よりも低く、また残業や休日出勤が多いなど、
到底働きやすい企業とは言いがたかったのです。
今おそらく就職活動の最中のあなたは、Aさんがどうしてこのような認識の違いに陥ってしまったか、その理由がわかりますか?
それは、「初任給」がどのようなものか、Aさんがよく理解できていなかったことが原因なのです。
今回この記事では、あなたがAさんのような認識違いをして、就職活動で失敗しないように、
初任給とはどういったものなのかを詳しく解説してゆきたいと思います!
目次
初任給とは?
初任給とは、大学など学校を卒業した後に正規雇用された人が、最初に受け取る給料のことを指します。この初任給とは、企業側が募集要項等で記していた基本給に、各種手当を加えたものです。以下に簡単にまとめたものを記しておきます。
- 初任給=基本給+各種手当(通勤手当や住宅手当など)
①初任給の平均は?
それでは大卒の初任給の平均は実際にどのくらいなのでしょうか?
厚生労働省が実施した賃金構造基本統計調査によると、平成30年度の大卒初任給の平均は20万6千円となっています。
これはあくまでも平均額であって、企業によってはこれ以下だったりこれ以上だったり違いが出てくるわけですが、
一つの基準として大卒初任給は20万円が平均と覚えておくといいでしょう。
しかしながら、例としてここに挙げた金額の全てをそのまま受け取ることができるわけではありません。
実際には健康保険などの各種税金が天引きされた状態で振り込まれるのです。
②手取りとは?
基本給に各種手当てを加算したものが初任給であることは先に確認しました。
「手取り」とは、そこから各種税金が引かれた状態です。
簡単にまとめるとしたら以下のようになるでしょう。
- 手取り=初任給-各種税金(健康保険や厚生年金等)
このように初任給から税金が天引きされた最終的な金額が、あなたの手元に残るのです。
初任給の平均額は20万円であると述べましたが、手取りの平均金額にそれを換算すると、
おおよそ総支給額の75~80%であると言われています。
つまり、大卒の手取りの平均額は15万円~16万円ということになります。
③給与から引き落とされる税金の種類
以下に給与から天引きされる税金の種類を簡単にまとめさせていただきます。
- 健康保険料:医療保険。加入者と企業が半々で負担する。
- 厚生年金保険料:将来年金を貰うために必要な保険料。こちらも加入者と企業が半々で負担する。
- 雇用保険料:失業した場合に給付金を受け取るための保険料
- 所得税源泉徴収:所得に課せられる税金
- 住民税:あなたが住んでいる自治体に納入する税金。社会人2年目からの課税となるため、初任給からは引かれることはない。言い換えれば、社会人2年目からは住民税も天引きの額に追加されるため、1年目より2年目のほうが手取りが少なくなってしまう可能性もある。
企業選びで初任給を確認する場合の注意点
これまで確認してきたことを一度まとめてみましょう。
初任給とは学校の卒業とともに社会人として正規雇用された人が、最初に受け取る給料でした。
その初任給から保険料や源泉徴収等の税金が天引きされたものが手取りとなります。
そして、大卒の場合初任給の平均は20万円であると言われています。
社会人として働くようになって始めてもらう初任給。
アルバイトで稼ぐのとはまた違う重みを持つものだからこそ、就職活動を進める時点でこの初任給を意識する人は多いでしょう。
しかしながらこの際注意しなくてはならないことがあります。
それは、初任給が高いということは、必ずしもその企業が働きやすいか、また安定しているかどうかを表す指標になるとは限らないということです。
以下にその理由を2点ほど示します。
①大体の企業は世間一般の相場を意識して初任給を決めている
新卒採用をする大多数の企業は、世間一般の相場を意識して初任給を決めています。
同業他社や他業種がどのような金額を初任給にしているのかも意識しているのです。
このようにすることには、理由があります。
他の企業よりも低い初任給を設定したがために、学生から敬遠されて、人が集まらないということを避けるためです。
つまり自ら他社と平均を揃えることで、初任給の点で差が出ないようにあえてしているのです。
だからこそ、新卒平均よりも圧倒的に高かったり、またその逆に低かったりする初任給を設定している企業には、何かしらの事情があるといえるのです。
②初任給が高い企業が働きやすいとは限らない
初任給が平均よりも高く設定されている企業には、そのように設定する何かしらの事情があると述べました。
例えばベンチャー企業の場合ですと、知名度が低いために学生からの応募が集まりにくいという問題を抱えています。
それに対して彼らの興味を引いて人を集めるために、初任給の設定をあえて高くすることで宣伝効果を狙っているのです。
また、これとは違い、ブラック企業足りない人員を集めるために、あえて初任給を高く設定している場合もあります。
条件として魅力的に見せることで、現実の問題の部分を隠してしまおうとしているのです。
先に上げたベンチャー企業の場合、まだ会社の将来性があるという意味でチャレンジするのもいいかもしれません。
しかしながら、後者のブラック企業の例など、就職をする学生に甘い部分だけを見せて、目を惑わそうとしている場合もあるのです。
つまり、初任給が高いからと言って、その企業が働きやすいホワイト企業であるとは決して限らないのです。
企業選びを失敗しないために意識したいこと
初任給のみに企業選びの際の重きをおいてしまうと、冒頭に挙げたAさんの例のようになってしまうことはおわかりいただけたと思います。
つまり企業の内情を見誤って、初任給だけは高いものの勤務条件としてはあまり良いと言えない企業に就職してしまう恐れがあるかもしれないのです。
それでは、どのようにしたらAさんのようにならずに済むでしょうか?
その対策として、初任給よりも基本給を意識することを挙げたいと思います。
この記事の冒頭でも、「初任給=基本給+各種手当(通勤手当や住宅手当など)」であると示しましたが、
基本給とは通勤手当や住宅手当などの各種手当を除いた、これだけは確実に貰える基本の給料です。
この基本給は入社時から一定のままではなく、雇用年数や年齢、資格や技能を所持しているかどうかで変化してゆきます。
つまり、勤続年数やあなたの努力次第でこれからの昇給が見込まれるものなのです。
だからこそ入社して1回限りの初任給を意識するよりも、基本給が入社時からどのように変化してゆくかを意識したほうが、
その企業に将来性があるのか、また条件として働きやすいところなのか、がより分かると言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は初任給とはどういったものなのか、そして大卒でのその平均はどのくらいなのかを記してきました。
- 初任給:学校を卒業した後に正規雇用された人が、最初に受け取る給料。基本給に各種手当を合わせた総額をいう。大卒初任給の平均は約20万円ほどである。
- 手取り:初任給から各種税金が天引きされ、実際に振り込まれる金額のこと。総支給額の75~80%だと言わる。
この初任給が高いからと言って、その企業に将来性があったり働きやすいとは限りません。
逆に、初任給が低いからといって、給料が低いとも限らないのです。
大切なのは、基本給がどのように設定され、昇給が望めるのかをきちんと確認すること。
Aさんのように失敗しないためにも、、是非今回挙げさせていただいた視点を、企業選びの参考にしてみてください!